先天性心疾患

当科では先天性心疾患の外科治療を積極的に受け入れています。
以下に当科の取り組みを述べます。

小児ハートチーム

小児心臓外科医3名と小児循環器科医5名がしっかりと連携し幅広い疾患に対応します

手術の様子

  • 鍋島惇也医師(2015卒)

  • 八島正文医師(1991卒) 卓馬紳之介医師(2020卒)

新生児から成人まで

  • 手術方法や手術時期が患者さんごとに異なります。
  • お子様にとって最良の方法をご提案し、治療にあたります。
  • 1回の手術で治す(根治手術)こともあれば、まず、肺や心臓の負担をとる手術(姑息手術/準備手術 後述)を行ってから段階的に治すこともあります。
  • 成人になって再手術が必要な患者さんへの対応も積極的に行なっています。

対応する疾患

心房中隔欠損症

欠損孔を直接閉鎖、またはパッチ閉鎖します。パッチには自分の心膜を用います。
当院では胸の真ん中に傷が残らないように、胸の右後ろを切開して行う手術も選択できます。


心室中隔欠損症

欠損孔をパッチ閉鎖します。パッチにはゴアテクスを用います。
3 kg未満の小さなお子さんや、欠損孔がいくつもある場合は、最初に肺動脈絞扼術を行います。

大動脈弁逸脱・変形が認められる場合

大動脈弁逆流が悪化しないように、速やかに手術することをお勧めしています。

房室中隔欠損症 (部分型・完全型)

部分型・完全型いずれも欠損孔のパッチ閉鎖と弁形成術を行います。
完全型の場合は肺動脈絞扼術を行い、成長を待ってから根治手術を行う方針としています。

ファロー四徴症

心室中隔欠損孔のパッチ閉鎖と肺動脈狭窄解除術を行います。
肺動脈細い場合、左心室が小さい場合は、B-Tシャント手術を先に行います。
当院では可能な限りご自身の肺動脈弁を温存する方針としています。

部分肺静脈還流異常症

右肺静脈が左心房ではなく上大静脈につながる場合が多いです。
当院では術後の肺静脈狭窄や不整脈が生じにくいDouble-Decker法を採用しています。

動脈管開存症

胸の左側を切開して、動脈管をしばって閉じます。
当院では体重が1000グラム以下のお子さんにも対応しています。

その他

  • 総肺静脈還流異常症
  • 大動脈縮窄症
  • 大動脈弓離断症

などにも対応しております。いつでもご相談ください。

姑息手術(準備手術)について

  • 複雑な心臓病の場合、1回の手術で治すのではなく、数回に分けて治す場合があります。この1回目の手術を姑息手術(準備手術)と言います。
  • 姑息手術を行って肺血流量を適切に調整する事で、心臓、肺、身体の成長を促します。
  • 姑息手術には主に2つの手術があります。
  1. B-Tシャント手術(体肺動脈短絡術)

    ゴアテックスの人工血管で動脈と肺動脈をつなぎます
    肺血流を増加させることで肺血管、心臓の成長を促します。
    ファロー四徴症肺動脈閉鎖症に行います。


  2. 肺動脈絞扼術(バンディング手術)

    肺動脈の根元にバンドを巻いて締め、肺血流を減らします
    肺血流を減らすことで肺血管、心臓の負担がとれます
    心室中隔欠損症や房室中隔欠損症などに行います。


成人先天性心疾患について

  • 小児期に心臓手術を受けた患者さんで、成人期に再手術が必要な方が増えて来ています。
  • ファロー四徴症術後の肺動脈弁逆流
  • 房室中隔欠損術後の弁逆流

などに対応しています。

さらに成人特有の心臓病(冠動脈狭窄、大動脈瘤など)の同時手術が可能です。

手術成績

小児心臓手術を2014年から再開し、手術死亡例なく、良好な手術成績を得ています。