教授からのメッセージ
2023年2月1日付で心臓血管外科学分野の教授を拝命いたしました藤田です。東京科学大学は本邦の心臓血管外科の黎明期からその発展に寄与してきた教室です。特に、弁膜症、虚血性心疾患、重症心不全、大動脈解離、先天性心疾患を得意としてきました。特筆するべきは、麻酔科、集中治療科の協力を得ながら最重症例や緊急症例も受け入れ、患者さんや紹介医の先生方の信託に答えてきました。
私は、国立循環器病院研究センターという日本で最も症例数の多い病院から参りました。そこでは心臓移植、人工心臓治療、ロボット手術、MICS(低侵襲心臓手術)、TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)、オフポンプCABG(人工心肺を使用しない冠動脈バイパス術)など多岐にわたる手術をおこなってきました。これからは、二つの施設の良いところを合わせて、さらに世界をリードする教室として発展させていきたいと思います。
これからの治療は循環器内科と心臓血管外科が融合した「ハートチーム」医療が中心となります。垣根をなくし力を合わせて診療するにあたり、それぞれがスペシャリストであることでより良い「ハートチーム」ができます。患者さんにとっては、内科外科両方の話を聞くことができ、治療の選択肢が広がるので安心していただけるのではないかと思います。
研究面においては良い研究のためには興味が大切だと考えており自主性を尊重します。そのような風土の中で、再生医療、虚血再還流障害、人工心臓、ロボットなどの臨床研究、translational researchを行いたいです。心臓血管外科は医工連携が大切ですので東京工業大学との統合は大変な追い風になると信じています。
東京科学大学の学生は非常に優秀で将来性があります。私たちはグローバルで責任感の高い医師や医学者を育てるために、自由で柔軟な発想のもと自主性を重んじ指導します。また、他学部と積極的に連携して新たなネットワークを構築し、世界を見据えた研究を指導したいと思います。
心臓血管外科のメンバーは優秀で非常にチームワークが良く、向上心に溢れています。一緒に働くことにワクワクしています。今後とも学内外の皆様からの一層のご指導、ご鞭撻を賜りながら、診療、研究、教育に励む所存でございますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
東京科学大学 心臓血管外科学
教授 藤田 知之